ある夜の話





荒い吐息が暗い室内を満たしている。
照明を消したのは相手の希望だ。
眦に涙を溜めながら哀願されたら聞かずにはいられない。
多分そういうところが信頼される理由なのだろう。
山形は足の間に座らせた相手の滑らかな腹部を摩った。
「あ……っ、あ……」
それだけで甘い声が上がる。
「や、やまがた、も……っ」
身を捩る彼に耳元で名を呼んだ。
「東海道……」
「や、ああ……っ」
胸の実を摘むとまた艶やかに啼いた。
彼の中心は今までの刺激で既に勃ち上がり、雫を零していた。
「おめぇさはどうしたいんだ」
「やま、がたぁ……」
上体を捻り、山形の頬に手を添えるとくちづけを強請る。
「ん、……んん……っ」
唇を合わせ、口内を探ると自分から舌を絡めてきた。
無意識にか腰を山形に擦りつけて来る。
背後に回した手で後孔を探る。
「ひあ……っ」
びくりと背が跳ね、唇が離れた。
耳まで朱に染め、山形に縋りついてくる。
くちゅ、と淫らな音が聞こえる。
山形は指を二本に増やして、狭い入口を解し続ける。
「あ……やまがた……ぁ」
早くも涙声になっている。
「もう少し辛抱しなっせ」
宥めるように頬に軽くキス。
「やまがたぁ」
「ん」
指を抜いて、唇に触れるだけのキスで応える。
「腰上げなっせ」
「ん……」
素直に従う身体。
山形はその腰に手を添えると、徐々に自分の上に沈めていった。
「あ、やぁ……んっ、……はぁ……」
肉塊の熱さに身悶えながら、少しずつ受け入れていく。
「平気け?」
全てを収めたところで、山形は彼の顔を覗き込んだ。
「……へいきだからっ、早く……っ」
下から突き上げると、朱に火照った背が撓った。
「あっ、ああんっ」
山形の背に回した手が爪を立てる。
「……っ!」
顔を顰めながら、山形は攻める動きを止めなかった。
「あ、ああ……やま、がたぁ……」
頭を振る度、涙の雫が四方に散る。
ベッドが軋む。
「も、もうっ、やま……たぁ……っ」
舌足らずな口調で限界を訴える。
「イキたければ、イッてええよ」
「んっ、ふ……やぁ………」
もう言葉が意味をなさない。
「あ、ああ…………っ」
一際高い声を上げると、彼は自身を解放した。
「んっ」
その瞬間、強く締め付けられて、山形も彼の体内に欲を放った。
山形に縋りついたまま、顎を肩に乗せて荒い息を継ぐ彼の頭を撫でてやった。





オンなので、表現控えめ。



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