「宇都宮、話があるんだ」
高崎が深刻な顔をして言った。
「何?」
「あのさ……できた、みたいなんだ」
「出来たって、逆上がりでもできた?」
「小学生か! って、できたと言ったら、子供しかないだろ!」
「何言ってるの、君」
高崎の発言を即座に否定する。
「信じないのかよ! ほら、腹だって張ってる!」
上着をまくりあげるのを冷めた目で見る。
「高崎、それ便秘じゃ……」
「なっ! そんなことあるわけないだろ!」
「ふーん」
まだ懐疑的な宇都宮を置いて、高崎は声を張り上げた。
「おっ、お前が生で中出しするからっ!」
「だって、できるわけないじゃない」
「でも、できちまったんだから、しょうがないだろっ!」
「だから、できるわけないって」
「ああ、もう俺どうしたらいいんだ……仕事続けられるのかな……」
「だから……」
「一人で育てられるのか……子供手当てはもらえるんだろうか……」
「だか……」
「うるさいな! 人が今後のことを考えてるのに!」
高崎は怒り出した。
「どうせお前なんかあてにならないんだ。もう知るかっ!」
背を向けて立ち去りかけて、高崎は立ち止った。
「あっ」
「何」
「今、動いた! ほらっ」
振り向いて、宇都宮に腹を触らせる。
「……高崎、やっぱりべん……」
皆まで言う前に意識が途絶えた。
「――っていう夢を見たんだけど」
「それ、この場で言うか?」
高崎はむっとした顔で宇都宮を見上げた。
怒るのも当然。
時は行為の最中。
「だったら、生ですんのやめろよな」
「だって、できないでしょ」
「当たり前だっ!」
「じゃあ、今日は外に出そうかな」
「勝手にしろっ」
ぷいと横を向いた高崎の足を抱え直して、宇都宮は行為を再開した。
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