It's not Like you.





「たーかーさーき♪」
がばっと背後から肩を抱かれた。
声といい口調といい、誰だかは分かっていた。
「宇都宮!お前のせいでこっちまで巻き添えじゃないか!」
振り返りつつ怒鳴ると、宇都宮は耳を塞ぎながら離れた。
「宮原駅のある高崎に、僕を責めるなんてできるの?」
現在真っ盛りの遅延を引き起こしている本人の方が偉そうにしている。
いつだって、こいつはそうだ。
「最近の宮原は故障してない!」
「最近は、ね?」
悪魔の微笑み。
「うるさい!とにかく今の遅延の原因はお前だからな!」
「誰も否定はしてないよ」
笑顔のまま、いけしゃあしゃあと言ってのける。
裏のある笑顔。
もう昔からなんで、慣れすぎるほど慣れてしまった。
「たまにはゆっくり行こうよ」
「…………」
思わず、まじまじと見つめてしまった。
「高崎、そんなに見られると誤解しちゃうよ?」
「何が!何に!?」
顎にかけられた指をぺいっと払いのける。
だって。
「……らしくねぇの」
「ん?何?」
堪えた様子もない宇都宮が首を傾げる。
「何でもない」
たまに「らしくない」ことを言ったからって、何かあるわけじゃない。
長いつきあいだけど、考えてることが何もかも分かってるわけじゃない。
だから、何でもない。
「先、行く」
「行こうか」
先、と言ったのに並んでついてくる。
確かに運命共同体だけど。
何だか居心地が悪かった。





昨日、宇都宮が信号故障で遅延したっていうんで妄想。
電車の待ち時間にケータイ打ち。
ビバ☆文明の利器!



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