テーブルトーク





アイスコーヒーのグラスが汗をかいている。
テーブルの上にできた水たまりを高崎は見詰めていた。
向かいでは長い指がストローの袋を器用に畳んでいく。
「それ癖なんか?」
指で差されて初めて、宇都宮は自分の手に気付いた様子だった。
畳んだ細長い袋を広げて伸ばす。
「何が」
ごまかすような態度に、きししと笑う。
「手慰みって奴?」
「さあね」
ストローを咥えて、高崎を試すような眼差しで見る。
だから、言葉を続けた。
「手が寂しいって?」
「そんな寂しい人間じゃないよ」
強がり。
お見通しだとにやりと笑んで、ストローを噛んだ。
「口寂しいんなら」
宇都宮が言う。

「キスしてあげようか」





ブログにあった話をサルベージ。ついでに加筆修正。
この人たちはたぶん出来てます。



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